パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

和梨 なし Pyrus pyrifolia var. culta

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昔は梨(なし)といえば日本の梨しかなかったので、あえて和梨(わなし)とはいわなかったものである。日本でも「洋ナシ」が果物としてすっかりなじんだ結果なのだろうかと思うこのごろ。
 
 
この日、大きな梨をいただいた。アトリエで剥(む)いて、おやつにみんなで食べることになった。洋ナシのクリーミーな味わいに比べて、和ナシはさっぱりシャリシャリとしている。
 
子供のころは「長十郎」という甘いけれども固いナシか、「二十世紀」という瑞々しいが甘みの薄いナシしかなかったものである。しかし最近はハイブリッドが進んで、甘さ、瑞々しさ、大きさと三拍子そろったナシがいただけるようになった。
 
 
 
ナシの香りといえば、ヘキシルアセテート。みんなでムエットにつけて嗅ぎながら、梨を一口食べる。
 
「ヘキシルアセテートはやっぱり洋ナシの香りだよね」
和梨はもっと薄くてさっぱりしている」
「ゲラニアセテート、シトロネリルアセテートのほうが近い」
 
口々に感想。
 
「梨はバラ科の植物だから」
「えっそうなんですか?」
「さくらも桃もりんごもイチゴも、みーんなバラ科だよ」
 
「だからバラの構成要素である香料とこれら果実の香りには共通項がある」
 
などなど。
 
本の勉強も大事だけれど、実はこうした体験とか雑談の中にマメ知識があり、これが積もって身の肥やしになっていくのではと考えている。
 
 
気の長い話ではあるが、人生も長いものであるから、ゆっくり効いてくる肥料も大切なのである。
 
 
 
 
 
 
☆「毎朝いただく一服」、お抹茶とお菓子を載せています。
 
 
➤抹茶の香り Hyouge ひょうげ(旧織部
ほろ苦い抹茶のグリーンとふわっとした泡立ち。すっきりとした甘さが残ります。
 
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