パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

バラの天然香料

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一般的にバラの天然香料というと、ダマスクローズ(ローズエッセンス)とローズ・センティフォリア(ローズアブソリュード)の2品種があります。

 

以前にお話しした、シトロネロール・ゲラニオール・Βフェニルエチルアルコールというのは、天然ローズの中にある香りの主要な成分です。(バラの骨格-1)
バラの香料は種類によって、匂いが違います。
 ローズ・エッセンス(Ess)の方がローズ・アブソリュード(Abs.)より強く、処方中ではトップにふわっと花の甘さが上がってきます。

 さらに、同じ品種のバラであっても、とれる年の天候や産地によっても変わってきます。バラに限らず、天然香料というものは、ロットの違いによって香りが一定ではありません。
ですから、その素材の差によって、同じ処方箋で作っても、違う匂いに出来上がってしまうということがあります。

 私の香水をフランスで販売するために、グラースの香料会社で香料を調合してもらった時は、日本のオリジナルと、向こうの最初のサンプルの匂いがかなり違ったものになってしまいました。天然香料の割合が多かったため、同じ処方箋でも香りに大きな開きが出てしまったのです。

このすり合わせで香料が航空便で何往復もし、私自身もグラースのラボになんども行って調合に立ち会いました。


今は、そこの香料を日本のアトリエにそろえていますので、新たな処方を組んでも、そういった問題は少なくなりました。

 下の方に、香料バラについての補足説明をします。

ダマスクローズ(Rosa Damascena)AD16-
別名:ブルガリアローズ
主産地:ブルガリア・トルコ・モロッコ・ロシア
香料の採り方(採油法):主として花の水蒸気蒸留法(蒸気によって香料を採る)

ローズ・センティフォリア(Rosa Centifolia)AD16-
別名:百葉バラ、キャベジローズ、ローズ・ド・メイ
主産地:地中海沿岸
香料の採り方(採油法):主として溶剤抽出法


香料用以外のオールドローズも、こんな種類があります。
ティーローズ(Rosa indica fragrans) AD19 お茶のようなさわやかな香り
○ムスクローズ(Rosa moschata)  BC8-AD5  香りがよいことから、ムスクと名付けられる。
○ロサ・ガリカ(Rosa gallica) AD16-  薬用、ティー用のばら
○ルゴサ(Rosa rugosa)  日本にある原種でハマナスともよばれます。
カニナ(Rosa canina) BC8-AD5  ローズヒップ(バラの実)をとる品種です。

 

 

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