パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ハクウンボク  と エゴノキ と スチラックスについて

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これは、明治神宮エゴノキStyrax japonica。

 

別名をチシャノキともいい、実(み)は毒があり、えぐいからエゴノキという名がついた。

 

白い花が鈴なりになって可愛い。

緑の葉と白い花が涼しげで初夏のさわやかな時期にふさわしい。 

 

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エゴノキによく似たハクウンボクという木もある。

下は、新宿御苑ハクウンボク。葉がまるいでしょう。

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白雲木ハクウンボクStyrax obassia。
花はそっくり。

 

別名をオオバジシャという。

花が咲くと、白い雲のように見えるのでこの名がついたそうだ。
葉がまるいので、エゴノキとの違いがわかる。

両方とも、エゴノキ科のエゴノキ属。
近縁種であることは間違いない。

 

そばに行くと、甘いちょっとしつこい匂いが降りてくる。
でも、背の高い木なので、なかなか直接かぐことができない。

  

 

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植物は通称名が多く、取り違えることが多い。

だから、学名はとても大切だ。


エゴノキハクウンボクのどちらも、学名にstylaxと入っている。
 

また、アンソクコウノキ(安息香・ベンゾイン)も、学名の中にスチラックスを含む。
学名はスチラクスベンゾイン(stylax benzoin)で、バニラの匂いがする天然香料だ。

 

エゴノキ科だから、近縁種だろう。
あまり、このあたりを関連づけている本がない。

 

 

そして、さらにややこしいのは、香料の世界で「スチラックス」と呼ばれる、
蘇合香(ソゴウコウ)という植物。
シナモンのようなスパイシーでバルサムウッディな香料である。

学名、Liquidambar orientalis マンサク科 フウ属だから、別種の植物。

 


スチラックスは、どちらかというと、カエデ(楓、フウLiquidambar formosana)に近い。じゃあなんでスチラックスなんて名前をつけたんだろう?
学名にも入っていないし。

 

それに、日本の楓(カエデ)とは違うもののようだ。
メープル(サトウカエデAcer saccharum)は甘い香りだから、関係があるのかと思ったが、調べているうちに行き詰ってしまった。

 

植物の世界と、香料の世界。

学名や慣用名から謎を追いかけていくと、推理ものみたい。

 

私はおもしろいけど・・・・。面白くないかな?

 

 

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