パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

メレンゲの香り レモンパイ

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レモンパイはメレンゲの香り。
今は、レモンパイなんて流行らないのかな。

 

デパ地下でもめっきり見なくなってしまった。
子供のころはレモンパイって特別なお菓子だったけど・・・。

 

 

大人になってからは、お菓子なんかさっぱり作らなくなってしまったけど、小学校の家庭科や、中学生ころまでは家でクッキーやケーキなんか焼いたりしたっけ。

 

レモンパイはけっこう難しくて、外で食べるようにはできない。
メレンゲは調理器具に油分がついているといくらやっても泡立たないし、逆にちょっとやりすぎると、ポソポソになってしまう。
こんな風に絞りだすように滑らかに泡立てるのはとても難しい。

ただ焼くだけでもせいいっぱい。下のレモン生地部分と合わせると、ぐちゃぐちゃになって、食えたもんじゃない状態になった。

 

メレンゲに何度も失敗して、黄身だけがたくさん余ってしまい・・・、あれ、黄身はどうしたんだろう?
あまずっぱい?想い出・・・だ。

 

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ふんわり軽いメレンゲは、砂糖を焦がしたような匂いと、ほんのりバニラでいい匂いだが、かすかに白身の生臭さがある。レモンの酸はメレンゲを安定させると同時に、この生臭さを消す。

 

メレンゲの香りを香料で組むとしたら、グルマンノートによく使われる甘いマルトールmaltol、ちょっと焦げたクッキーのようなピラジン(pyrazine)、白身の生っぽさはアルデヒド類のトリメチルウンデセナールなどでできるだろう。 

 

 

ホテルオークラでは、昔ながらのレモンパイが置いてあって、カロリーを気にしつつ、懐かしくてたまに注文してしまう。

オークラ・カメリアにて。

 

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