昨日の冬至日、富士山が夕焼け空にきれいなシルエットを描いていた。
2010年の冬至は12月22日。
冬至を境に「畳の目一つ分づつ陽脚(ひあし)が伸びる」と言う。
最近の、縁側も畳の部屋もない家では実感がわかないかもしれないが、昔の人のこの言葉には、厳しい寒さを耐え、春を焦がれる心がしみじみとあらわれている。
冬至は「一陽来復」ともいう。
冬気が極まる、「陰気が極まって、陽気が帰ってくる」との意味だ。
冬至日が最も昼が短いとはいえ、「夜明け」はまだ半月ほどの間、少しづつ遅くなっていく。
しかし、「日暮」は半月ほど前から、もう遅くなり始めている。
陰から陽に転換する、その瞬間よりも前に、「福」の兆し(きざし)は始まっているのであり、それが表にあらわれてくるのはもうすこし後になる。
「春」を待つ者には、そんな風に感じられるのである。