パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

デュランタ 花  クロアゲハ

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昔、庭のある家に住んでいた頃、デュランタの花を白い丸テーブルの上に置いていた。高さ30センチくらいの鉢植えだ。紫の小さい花が房になって垂れ下がるように咲く。

時間があると、やはり庭の白い椅子に座って、ぼんやり庭を眺めていた。
午後になると、決まって右の塀からクロアゲハがひらひらと飛んできて、必ずこの花にとまる。匂いの印象のない花なのに、蜜があるのを蝶は知っている。いくつかの花房をついばんだ後、またゆったりと左の塀へと飛んで行った。
蝶は時計を持っているのだろうか。毎日同じ時間にやってきた。思いついて、目の前に来るのを待ちながら、少しづつ彼をデッサンをしていった。
ずっと、その花を忘れていたのだが、今日六本木に行く用事があり歩いていて、大きく育ったデュランタを、教会の塀越しに偶然見つけた。ここにも蝶は来るだろうか。
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花事典 デュランタ:クマツズラ科 ハリマツリ属  学名:duranta erecta
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