パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

殻付き焼きアーモンド

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昔、デパートの帰りに母はよく天津甘栗(てんしんあまぐり)を買ってきてくれた。

私はまだ小さくて、皮に爪を立てることができず歯で噛んだりしたが、栗は二つにちぎれてしまい上手に剥けなかった。兄弟でコタツに入って、一袋を食べきるのにはずいぶん時間がかかったものだ。
最近は何事につけ手をかけずにものが食べられるようになってきて、甘栗も「むいちゃった」ものがふつうに売られている。それはそれでとても便利だが、ぽいぽいと口に入れてしまい、あっというまになくなってしまう。
 
これは、和栗をむいたものだが、渋皮ごと食べられる。ちょっと珍しくて買ってみた。
 
また、殻にはいったままローストされたアーモンドがあるとは知らなかった。とても香ばしい。
アーモンドは、剥いてあるものが普通だと思っていたら、わざわざ殻つきが売っているのは、味のこだわりなのだろうか。
 
パチッという音。殻をむく行為も、食を楽しむための前菜の一つかもしれない。若いころは気が短くて、面倒なことは不必要だと思っていたが、手間をかける楽しさも少しわかってきたような気がする。
手軽もいいし、手間がかかるのもいい。いろいろな形を選べるということも、食の豊富さを語っている。
 
 
アーモンドの種子を炒ったものは香ばしいナッツの香りだが、アーモンドエッセンスは杏仁豆腐でおなじみの甘い匂い。主成分のベンズアルデヒドは香料でも使われる。
 
いわゆる青酸をさすアーモンド臭と言われるのは、収穫前のあまずっぱい杏の果肉の香りだそうだが、嗅いだ事はない。命がけだから。
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