パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

茶の世界史 中公新書

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「茶の世界史」は緑茶の文化と紅茶の社会というサブタイトルがついている。角山栄氏によって1980年に書かれた本である。

 

「われわれはすべてのものを手を使って食べる。日本人は男も女も、子供の時から二本の棒を用いて食べる」「われわれは宝石や金、銀の片を宝物とする。日本人は古い釜や、古いヒビ割れした陶器、土製の器などを宝物とする」

この本のプロローグによると、これは16世紀にポルトガルの宣教師が書いた「日欧文化比較」という評論の一節だそうだ。以下は同書に載っていた、1596年にオランダの探検家(リンスホーテン)が書いた「東方案内記」の一文だが、抜粋引用させていただいた。

 -彼らは日本の「茶の湯」文化にいたく感動したらしい。当時の東洋は、今と違い豊かな国であり、「種々様々な手職を持つ優秀な職人と創意に富んだ名工がいる」し、人びとは「あたかも宮廷ででも養育されたかのように礼儀作法がすこぶる優雅で」あると、日本を尊敬の目で見ていた。一方、北緯40度以北の寒冷なヨーロッパは貧しい国だった-

 

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実は、ある方のブログで、「イタリアで見たレオナルドダヴィンチの名画"最後の晩餐"には、フォークやスプーンが描かれてなかった」という記事を読んで、ふと、昔読んだこの本を思い出し、例のごとく本棚の隅っこから引っ張り出して読み返してみたのだ。

1498年、この絵"最後の晩餐"が完成した当時は手づかみで食事をし、ナイフはあってもおそらく今の様なマナーなどなかったのだろう。

 

ヨーロッパ文化も素晴らしいし、向こうの美しい物には本当に憧れるが、片方で日本のよさを知り、日本人としての誇りも持ったうえで外国文化に敬意を払いたいものだ。

いったいいつから、日本人の多くが欧米崇拝主義になってしまったのだろう?日本の素晴らしい文化を壊して捨て、サルまねの異文化を喜んでいるから外国から軽蔑されてしまうのだ。少しお金持ちになると、なんちゃってベルサイユ宮殿みたいな家を建てたがり、まったく噴飯ものである。池に錦鯉を飼いたがるほうがましかも。(あー、こういう意見はオヤジかなー)

 

一国の歴史はお金では買えない。慈しみ育てていくものだ。

この本は、日本の茶から始まったヨーロッパのティーの文化について、世界史をなぞりながら語っている。「茶の湯」と中国の「飲茶」の違い、ヨーロッパ各国での磁器と喫茶の変遷、また、茶の貿易赤字から始まった中国アヘン戦争など、世界史で出てきた大きな出来事が、ふたたび現れてパズルの中のピースのようにはまっていく快感がある。

学生のころもっとも苦痛だった歴史の授業が、今は物語を読むように楽しい学びとなっている。自分自身が、歴史のある年齢になったから(つまり歳をとったから)であろう。

 

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 茶の世界史 角山栄 著 中公新書 

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