パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

雛まつり Hina-matsuri Girl's day③宴(うたげ)の後

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官女A「あー、やれやれ、くたびれた。髪ボサボサで、セットにも行きたいわ~」
官女B「どうせもう人に見られることもないんだし、来年のお出ましにはどうせ寝ぐせがついちゃうわよ」
 
 
 
 
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宴の後、また一年の眠りにつく雛人形 たち。楽屋で笑いさざめきながら従者が喫する 毎朝の一服 。
 
 
 
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万葉の時代には梅の香りが好まれ、歌にもよく詠まれていたが、桜を好んだ嵯峨(さが)天皇(9世紀)の影響か、次第に梅から桜へ人気が移っていったようである。
 
左近の桜、右近の橘(たちばな)。その昔、紫宸殿(ししんでん)の左には梅の木が植えてあったのが、枯れてしまったのを機会に桜に植え替えたのだという。時代の趨勢(すうせい)というものだろうか。
 
 
「雪洞」と漢字で書くと固く重いけれども、「ぼんぼり」とひらがなで書くと幽玄で、いかにもほの明るい、まあるく照らすようすに感じられる。
 
 
 
 
 
 
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ちいさな雛道具の数々を開く。そして閉じる。ひとつづつほこりを払い、紙に包むとき、折々の思い出が湧いてくる。
 
季節の行事(ぎょうじ)というのは、四季の花に会うにも似ている。毎年決まりごとのようにやってくることで、思いが積みあがっていく。
 
 
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金の屏風に赤い毛氈(もうせん)が照り映えて。ほんの泡沫(うたかた)の夢の御殿よ、さようなら。
 
 
 
 
 
 
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「ああ、名残惜し。浮世とはよく申せ、はかない宴(うたげ)でござりました」
「姫、また一つ箱の中で静かに休もうぞ。」
 
 
 
 
 
 
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