フウセントウワタ。
風船のように膨らんだ実(外側の殻)が裂けると、中から茶色の種子の集合体が顔を出す。
割れたばかりはアケビのはじけたところを連想させる。
次第に下の方からシルクのような白い糸の塊が盛り上がってきて、茶色の粒つぶはこのように膨らんでくる。
英語ではswan plant ともいう。
それは風や何かが触れた拍子に塊からはぐれて、大きなタンポポの種のようにフワフワと飛び始める。
ケセランバセランという想像上の生き物のようだ。
この棘の生えた直径5~10センチくらいの風船が、茎に直にポコポコといくつも付いている。
花よりも実が面白い形なので活け花の材料として使われる。
しかしこの植物の樹液には目の炎症を起こす物質があるので、切り花などで扱う時にはさわった手で目をこすったりせず、手洗いが必要。
この植物は、カバマダラという毒のある蝶の幼虫の食草である。
これは推測であるが、草の有毒成分が体内で濃縮したのかもしれない。
風船唐綿と同じガガイモ属の植物には白い乳液状の汁が出てかぶれるものが多い。
カバマダラは熱帯の蝶、台風などに乗って迷い込んでくる以外、もともと日本にはいないとされている。
これはツマグロヒョウモンの写真。ツマグロヒョウモンには毒はない。
夜、たまたまアトリエの外で休んでいた。
この蝶は身を守るため、前出のカバマダラに擬態しているという。
色と形、羽のヘリの柄が似ている。
➤フウセントウワタ ガガイモ科 トウワタ属 学名:Gomphocarpus physocarpus