パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

香水ブランドができるまで⑥ 紐かけと箱 box

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紐かけと箱 box

初期のころ、素敵なボトルは日本にはなくて、フランスのボトルを少しばかり手に入れて作ってみたりした。 


しかし、ねじ式ではなく、落とし込んだだけのストッパー型のキャップでは、輸送中に蓋が取れてこぼれてしまうかもしれない。
 
実際に製品を作ってみると、その先のさまざまな問題が見えてくるものである。
 
そこで、フランスの古い本に載っていた紐かけの写真を参考に、このボトルに合うように工夫してみた。
  
 
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香水瓶が手に入っても、当時はそれを入れるまともな箱がないから自分で作ることにした。
ブランデーの箱や色々な箱を解体して、仕組みを研究した。
 
思いついて、既成の宝石用のケースを利用し、ボトルに合わせて中敷きを作りセットする。
さいころから工作は得意だったのが、思わぬところで役に立った。
 
 
箱を探すところから数週間、最初の1個を作るのに、設計して完成まで数日を要した。
ひとつできれば、次は数時間でできる。
やがて、5個、10個とまとめて作ったりして。
 
やがて箱屋さんに発注するまでになり、数年後には、1ロット1000個単位に至った。
思えば最初の一個目が試作品としてつながっている。
 
 
ずいぶん回り道したものだとは思うけど、なんにしても、完成図を思い描いて作っていくというのは面白いものだ。
 
与えられた環境でできる限りのことをする、ということしかできず、それは今でもやっぱりそうだ。
 
 
ひとりで始めるっていうことは、そんなものだと思う。
 
 

 

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