パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

アンバー Amber ケミカル

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アンバーは、動物の地肌の匂いがする。

犬を抱いて、毛を分けて地肌を嗅ぐとするアニマリックな臭い。シャンプーをしたての犬でも、におう。起きぬけの男性の背中からも、似たようなにおいがすることがある。

この地肌のにおいと、レザーノート(なめし皮のにおい)とはちょっと違うが、アンバーは同時に両方のにおいがする。

男性にはアンバー的な要素が体臭にある。ムスク的な要素もある。(加齢臭とはまた別のにおい。)

だからと言って、自分から出るにおいを隠したり、消そうと言うのではなくて、このアンバー的においに合わせて香水を選ぶと、自分の体臭がとても魅力的になり生きてくる。体臭はあなた自身が持っている香料の一部である。(ポジティブにとらえよう。 )

 

昔はアンバーと言えば、いくつかの素材を組み合わせたベースの、重いバルサミックな香りをさした。これらはシャリマーのラストノートの様な甘いオリエンタル調の香料で、ボリュームがある。

 

オリエンタルタイプの香水を作りたかったらこのスイートアンバーベース、例えばamber83を入れればだいたい出来てしまう。(今どきはお目にかからないが)そんなわけで、スイートアンバーは女性のオリエンタルタイプの香水にもよく使われてきた。

 

一方、アンバーグリスに近い合成品のケミカルはもっとドライ。さっきの、動物の地肌とレザーのにおい。プラス、香料によって少し硬かったり、ソフトな感じがしたり、(バニラとは違う)甘さがあったりする。

合成アンバーの中では、昔も今もアンブロキサン(ambroxan)が好きだ。クラリセージの中にあるスクラレオールから作る。ブラックミンクのつやつやした毛のイメージがする。同等品で別の会社のものもあるが、ヘンケルのものが一番良かったと思う。

他にも多くのケミカルアンバーがあるが、例えばチンベロール(Tinberol)はとがった鋭いアニマルアンバーで、メタリック。透明感を出したいようなときにはこの素材を使う。

ニコスの「スカルプチャー」は、アンバーを多用しているが、このチンベロールも使っている。(ambroxanやamber140、ambrinolとかも)

カラナルは(Karanal)さらに強く、ドライなアニマルアンバーがラストまで続く。力価が強く、ほんのちょっぴりでも効き目があるのでパフォーマンスがよい。以前はあまりファインフレグランスには使われなかった素材だ。

セドランバー(Cedramber)ドライなレザーアンバーがだんだんウッディ調に変化、アンバーとウッディの中間。

ムスクに比べると、アンバーのラストノートは、少し日本人には難しいと言われてきた。でも、表に出ないように上手に入れると、ちょうど体のにおいとオーバーラップして秘密の信号になる。

 

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