パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

アゲラタム かっこうあざみ(郭公薊) Ageratum

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アゲラタムの小さな蕾から糸のような花びらが伸びて、遠くから見るとふんわりとした紫の雲のようだ。

かっこうあざみ(郭公薊)ともいう。キク科植物。

 

名前の語源は葉の形がカッコウという鳥に似ていると言うが、そうなのかなあ・・・。
そして花はアザミに似ているかららしいが、この花をひとつづつよく観察すると、もっとやさしげな春に咲くヒメジョンやハルジョンにも似ている。

 

 

植物、とりわけ花は面白い。
人間のために咲いているわけでもないのに、さまざまな色や形を私たちは愛で、楽しんでいる。

 

本当に「なぜこんな姿をしているのかな?」ととっても不思議に思うことがある。
それは、ため息が出るような人智を超えた自然界のしわざ。

 

それを、あれこれ名付けてみたり、きれいだのどうだのと批評してみたりと、人間は勝手なものである。

 

 

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食べたり薬にするなど、私たちの命を長らえるために役に立つといった、現実的問題以外でも「ただ美しいから」という理由で愛しく感じるのは人間だから。

 

その一枝を、苫の屋のしつらいに供したいからと言って、植物は私たちを責めるだろうか?

 

さあ、香料を採るために、美しい花々を熱い蒸気の噴き出る釜に入れたり、脂の中にしきつめて、じわりじわりと吸い取るのは、残酷なことではないの?

 

さても心やさしき花は審美の神にささげる生贄として、これら傲慢なふるまいを許してくれるだろうか?

 

 

かつて花に野蛮なふるまいをしたことがないと自信を持って言える人よ、どうか私に教えてくれないか?

 

 

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