少しうす暗い林の地面近く、ヤブマメは船のような細い形の花は、蔓性の、マメ科の植物である。
小さな花だがはっとするような青。
水引とヤブマメの、赤と紫が絡み合うように咲いているのが、まるで着物の柄のようだ。
しっとりと美しい。
日本の絵柄は、こんなふうに野山の風情から生まれたのだろうと感じる瞬間だ。
ひとつづつは小さく地味な花なのに、一緒になるとこんなに派手に感じるのは、調和による妙というものだろうか。
赤と紫は補色だからとか、こざかしい理論はどうでもいい。
このまま篭(かご)にでも活けてみたい。
「花は野におけ」と言われるが、それでも自分のものにしたいというのは、人の性(さが)というものなのだろう。
花たちは従順である。
たとえ手折られても踏みにじられても耐える。
それは私がそうするということではなく、花のようでありたいという願い。
ただ土に還してさえくれれば、また循環と言う船に載って、永遠に旅することができるから。