
アオモジ(青文字)とケイオウザクラ(啓翁桜)を一緒に活ける春のアトリエ。買ったときはまだつぼみばかりで、小さな青い実にも見えた。今日はもう、はじけるように中から黄色いしべがのぞいている。
春先の「枝もの」として花店によく並ぶアオモジ。ひとつづつは地味な花なのだが、集まると趣(おもむき)があり、他の花との組み合わせも相性がよい。

枝を折ってもいいにおいがするのだが、どの先っぽにも若葉がついて、手折るのがためらわれる。
下の方の枝をちょっと爪で引っかいてにおいをみる。
クスノキ科の植物はいい香りのものが多いようだ。茶道で使う楊枝(ようじ)の黒文字(クロモジ)や、シナモン、ゲッケイジュも同種である。

アオモジ(リツェアキュベバ)の果実からは香料も得られる。多くは中国で採油され、メイシャン、メイチャン(May Chan)、Litsea citriodora,とも言う。果実は緑からやがて濃い紫に熟す。
レモンの様な芳香を持ち、柑橘類に多いシトラールを含む。よく嗅ぎこむと、グリーン、スパイシーな要素もある。
毎年、一度は飾りたい、春の花木。