パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

マツタケの香り 1-octen-3-ol(amyl vinyl carbinol)

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マツタケの香り

 

1-octen-3-ol(amyl vinyl carbinol)

 

マツタケの天ぷら

 

 

先日、早くも松茸のてんぷらを頂いた。

揚げた後、縦に割ってさらに上下を二つに切ってある。いや、上下を切ったのち、縦に割ったのか。それはどちらでもよい。

 

ほおばるとマツタケの香りがふわっと口の中に広がる。

傘の方が香りが高く、軸の方は歯ごたえを楽しむ。

 

添えられた柑橘のスダチには針葉樹のような香りがあり、ほんの一滴落とせばそこは森の香り。

 
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マツタケの香気成分

 
「松茸の香り」として有名な「マツタケオール」、化学名1-オクテン-3-オール(1-octen-3-ol)は、パルファンサトリのオルガンにはアミルビニルカービノール(amyl vinyl carbinol)という名前で並んでいる。
 
この1-オクテン-3-オールは、松茸の中では(R)体が8-9割を占め、より松茸らしい香りである。
一方の(S)体は、ブルーチーズを思わせるカビっぽい香りと、針葉樹の葉を思わせるハーバルリーフィグリーンがする。
 
 
1-オクテン-3-オールは、松茸だけでなく他のキノコの中にも含まれているし、ラベンダーの中にも微量ある。
 
そして典型的な「フゼアタイプ」は最近あまり流行らない感があるが、その骨格はベルガモット、オークモス、ラベンダー、クマリン
 
『ユズ・カボスのシトラスと、マツタケなどキノコの胞子のようなパウダリーに、湿った針葉樹の葉をあしらった森の香りの、和っぽいメンズ・フゼアタイプを作ったら面白かろう...』
  
そんな埒(らち)もないことを考えつつ熱いマツタケをほおばり、冷たいピュイイ・フュメで舌を潤すのであった。
 
 
 ヨーロッパ産のキノコ(T. nauseosum)とマツタケ(Tricholoma matsutake )は同一だそうだが、この写真のカンヌの市場のキノコがマツタケかは知らない。Montenegro。
 

 

 

 

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