夜に、駅の土手から、湿った、藁(わら)のような、枯れてひなびた、土の、青い芝生の蒸れた、夏草の、露を含んだ闇の匂いがして、これは、地下の微生物の匂いであるから、日本固有の、懐かしい、胸騒ぐ夜の香り。
思索の秋とはよく言ったもので、日が短くなり早々に暗くなってくると、なんとなくもの思わしげで、自分の内側に目をやりたくなる。
街の色が違う。 空間というのは、からっぽではなくて光の粒子の集まりなのだと感じる。
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