パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

茶筅(ちゃせん)the Whisk

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ちゃせん、茶筅(茶筌)に近づいてよく見ると、お花の蕊(しべ)を思わせる。中心のめしべと、外周に整然と並ぶおしべたち。
 
4月を機に、茶筅を新しくした。穂がきれいにそろっていて気持ちがよい。
 
 
 
茶筅は、茶道でお抹茶を点てるための道具である。
 
根元を紐で縛っているので、細い竹をたくさん束ねたと思う人もいるが、茶筌(ちゃせん)は、1本の竹を切り割って作ったものである。
 
ハチクの節の近くまで縦に刃を入れ、16、32、64と均等に割っていく。さらに1本ずつを内穂と外穂に開いていくのである。
 
穂の数は16本から120本程までいろいろで、お薄茶には80~100本くらいのものを使うことが多い。
数が多いほど制作に手間がかかるので、昔は80本以上は大名の使うもの、126は将軍用とされたという。
 
また、穂の数が多いほど泡が点ちやすいので、少ない穂を使うと腕自慢をしているように見えるとか、おのれを未熟に見せるために、あえて穂数の多いものを使って謙遜して見せることもあるというから、お茶の心得(こころえ)は深すぎる。
 
 
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岡倉天心は「The book of Tea」の中で述べている。
 
茶室は明るさを抑えて、全体にくすんだ色調。年を重ねた円熟さが感じられ、「茶筅と麻の茶巾だけが白く新しく」対照を見せている。
 
茶室が清潔で清浄な場であることを、この対比が鮮やかに説いていると思う。
 
 
 
茶筅は使っているうちに穂先が傷んできたり、つぼまってくるので、陶器でできたホルダーにさして形を整えて保管する。前述のように本来は1回使い切りの茶筌だが、一般人にはなかなかそのような贅沢もできず、長持ちするように大事に使う。
 
 
薄茶を点てるとき、茶碗の底に茶筌をゴリゴリと擦ってはすぐに傷んでしまう。はじめ底から混ぜ、徐々に浮かし、最後に表面をさらさらとなでるときめ細やかな泡になる。
 
しかし泡は多ければよいというものでもなく、茶筅は泡だて器ではない。
裏千家では泡を一面に浮かべるが、表千家では縁に三日月に残すほどである。
 
 
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ほろ苦い抹茶のグリーンとふわっとした泡立ち。すっきりとした甘さが残ります。
 
 
 
 
 
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