パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

栴檀(センダン)は双葉より芳(かんば)し?

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栴檀(センダン)は双葉より芳(かんば)し?

結論から言うと、

 

栴檀(センダン)と呼ばれる木には白檀(びゃくだん)と楝(おうち)の二種類がある

①ことわざの栴檀(センダン)は白檀(ビャクダン)のことを指す

③白檀は双葉の時は匂いがない

 

のです。

 

ちょうど楝(おうち)の花がきれいでしたので、このテーマについて書いてみました。

 

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アトリエに行くルートの一つに、白い栴檀(センダン)の花がいっぱい咲いていました。花の中心が紅色なので、遠くから見ると全体がほんのりピンクに見えます。

 

この写真の栴檀(センダン)は、楝(おうち)とも呼ばれます。

 

栴檀,センダン,栴檀は双葉より芳し,

この木は背が高すぎて、匂いは嗅げませんでしたので、 

落ちていた花を拾って、アトリエについてから香りを確認してみますと、インドール(indol)の匂いを強く感じました

花が咲いてから少し時間が経っているためかもしれません。

 

インドールは、ジャスミンやスズランなど白い花の特徴的な香気成分で、ナフタリンを思わせるアニマリックな匂いです。 

おそらく、木の上ではもっとグリーン、ハニー、パウダリーな香りだったのではかと想像しています。

 

 

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さて栴檀(センダン)は双葉より芳しい」という平家物語から取られたことわざがあります。

この栴檀は白檀(ビャクダン)のことを指していて、楝(おうち)とは違うものです。

   

 

そもそも白檀(ビャクダン)はインドをはじめとする熱帯地方原産で日本にはありませんし、外見も白檀と楝(おうち)は全く違います。

 

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混乱は、名前の成り立ちから始まっているようです。 

これはもう干からびてしまいましたが、冬に拾った栴檀、(おうち)の実。

 

寒いある日のこと、楝(おうち)の樹の下に黄色い小さな実がたくさん落ちています。見上げると枝ばかりの梢(こずえ)に、丸い玉が鈴なりにぶら下がっていました。

この実の多さから「千の団子」➤「せんだん」➤「栴檀」になり、白檀の栴檀と混同されてしまったようです。

 

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また白檀は成長20年を経て、ようやく樹の中心部分に香気成分ができるので、芽が出たばかりでは匂いません。双葉のときは芳しくないのです。

大きくなってから香りが良くなるということが、インドから言い伝わってくる間に変化してしまったのでしょう。

 

 

翻って、「栴檀(センダン)は双葉より芳(かんば)し」の意味は「大成する人は幼少のときからすぐれている」です。

嗅覚の「匂い」として言っているのではなく、秀(ひい)でているということを例えています。

 

 

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蛇足ですが、 

匂いのないウツギの花を、美しいという意味で「卯の花の匂う垣根に」と歌にしたように、「匂い」、「にほう」ということばは、嗅覚以外にもしばしば使われるようです。

 

 

 

 

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