パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

椿 万葉集

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万葉集には、椿を詠んだ歌が9首ある。
長歌には素敵なものが多い。

「わが背子と 手携(たづさ)はりて あけ来れば 出で立ち向かひ 夕されば ふり放(さ)け見つつ 思い暢(の)べ 見和(みな)ぎし山に 八峯(やつを)には 霞たなびき 谷べには 椿花咲き うら悲し 春の過ぐれば ほととぎす いやしき鳴きぬ 独りのみ 聞けばさびしも 君とわれ 隔てて恋ふる 砺波山(となみやま) 飛び越えゆきて 明けたたば 松のさ枝に 夕さらば 月に向かひて 菖蒲(あやめぐさ) 玉貫(ぬ)くまでに 鳴きとよめ 安寐(いね)しめず 君を悩ませ」
 

「あの人と手をとりあって夜明けを迎えたならば家を出てその山に向かい、夕暮れになると山を見て心を和らげ、山の峰には霞がたなびき、谷には椿が咲き、春が過ぎるとホトトギスがしきりに鳴き、独りでそれを聞けばさびしい。ホトトギスさん、あの人と私とを隔てている砺波山を飛び越えて、朝には松の枝に、夕暮れには月に向かって、あやめぐさが咲くまで鳴き立てて、あの人を眠らせないで。」

 

原文「和我勢故等 手携而 暁来者 出立向 暮去者 授放見都追 念暢 見奈疑之山尓 八峯尓波 霞多奈婢伎 谿敝尓波 海石榴花咲 宇良悲 春之過者 霍公鳥 伊也之伎喧奴 獨耳 聞婆不怜毛 君与吾 隔而戀流 利波山 飛超去而 明立者 松之狭枝尓 暮去者 向月而 菖蒲 玉貫麻泥尓 鳴等余米 安寐不令宿 君乎奈夜麻勢」万葉集 巻第十九 4177~ 4179 大伴家持の歌 4177

 

 

同じ訳がほかにもありましたが、

https://art-tags.net/manyo/nineteen/m4177.html

art-tags.net

から引用させていただきました。

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