鋭角に飛ぶアゲハ蝶。アオスジタテハはいつも、夏の想い出。
暑い陽ざかりの道を歩いていると、この青い蝶は前を横切っていく。
目で追いかけてもあっというまに、梢に高く飛んで行ってしまう。
今日は、新宿御苑の森の藪で、珍しく優雅に食事をするアオスジタテハに遭遇した。
まず写真には撮れまい、と思っていたのだが、思いのほか長くこの下草の花のあたりを飛び回っている。
少し離れたところからなので、ズームで寄る。
動き回る蝶は、当然フレームからすぐ外れてしまい、何度も目で位置を確認して再び画面の中に納めるのだった。
目が大きくて黒々としている。
アオスジタテハが盛んに吸っている、この花はヤブガラシ。
たっぷりの蜜を持っている。
ヤブガラシなんて、いやな名前だけど、繁殖力が強くて本当に他の植物を圧倒してしまいそうだ。
巻きひげでどんどん這いあがっていく。
まだ生まれて間もないのだろうか。小ぶりでたどたどしい。
蝶は、この一帯を飛び回る。
気まぐれにとまり、蜜を吸いながら細かく翅をふるわせる。
妖精?
少し薄暗い木陰の中で、青い蛍光性を帯びた模様が幻想的にひらめく。
数分後、アオスジタテハの飛び去った後には、深閑とした森の吐息だけが残っていた。
アオスジアゲハ 青条揚羽 学名: Graphium sarpedon