植物が好き。ごくありふれた草でも、じっと見ていればその形の不思議さ、自然の営みの偉大さに心打たれるものだ。
下は、牧野富太郎博士の植物図鑑、昭和8年の初版本だ。
古本屋さんで見つけた。
植物が好きだから、若い頃は牧野図鑑がとっても欲しかった。
本屋さんの書架にならぶ、きれいなカラーの植物図鑑。
図鑑は4-5冊かのセットで、とても高かったので当時は手が出なかった。
牧野富太郎博士は、日本の植物学の父と呼ばれる。
植物の分類を手掛け、今なされている多くの植物分類は博士の偉業による。
いくつか読んだ随筆もあり、ご高名はしっていたがその生い立ちなど詳しくは存じ上げなかった。
新宿御苑に日参するようになって、最近また博士の書を手に取り、読み返したり新しく購入したりした。
随筆の中の言葉からは真に植物を愛し、一途に研究に捧げた生涯を感じることができる。
以前読んだ時よりも、より深く心に触れる。
「私は草木に愛を持つことによって人間愛を養うことができる、と確信して疑わぬのである。・・・中略・・・慈悲的の心、すなわちその思いやりの心を私はなんで養い得たか、私はわが愛する草木でこれを培うた。また私は草木の栄枯盛衰を観て、人生なるものを解し得た」 牧野 富太郎(『植物知識』)
私はとても博士のように、植物によって慈悲の心を養えるほどの愛はとうてい及ばない。
けれど、森の中にあって「草木のように生きられたら」と憧れるものである。