若いころ、本は私にとって外の世界へ通じる窓だった。
たくさんの本を読み、花を育てた。「モネの庭」という写真集は、毎晩枕もとにあって、眠りにつく前の儀式になっていた。
私は、熱烈に焦がれた。
モネ自身が「庭を維持するために画家になり絵を描いて売った」と言っている。彼の作品の背後に庭への情熱があるから、絵に愛情があふれているのだ。
機会を得てようやくジベルニーを訪れた時、「本」のままの風景がそこにあった。ベッドの中ですでに私はジベルニーに来ていたのだが、ここに到り、再びむかし、眠りの中へ戻ったのだと思った。
花は、めまいの中にいた。