パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ミスディオール 千鳥格子

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千鳥格子の柄に包まれた、ディオールの最初の香水、Miss Dior(ミスディオール)。パッケージデザインは、いま見てもむしろモダンで洗練されている。
この名前は、第二次大戦後、パリに大挙して訪れるようになったアメリカ人を、フランス人が皮肉ってつけられたネーミングだと言われる。

 

 

おてんばでエレガントとは言えないディオールの妹が、またもこの香水の企画会議に遅刻してバタバタと入ってきたときに、

 

「よし、(マドモアゼルでなくて)ミス・ディオールにしよう!」と決まった・・・というエピソードは有名だ。

 

が、実は、当時は英語が流行っていたからというのが本当の理由、という説もある。(日本で、何でもカタカナの名前が売れた時代があったように)

 

匂いはシプレー(Chypre)・タイプのど真ん中。意外に思われるかもしれないが、男性用のアラミスと似ているところがある。やや硬質な香りで、確かに「マドモアゼル」や「マダム」より「ミス」がふさわしい。


ベルエポックと呼ばれる、この時代のファッションはエレガントでうっとりしてしまう。ディオールは、女性にロマンを見ていたのだろう。

 

先日パリへ行った時に、ブランド店のウィンドウをあちこち見ていたら、この時代のデザインを彷彿とさせるドレスが飾られていた。不況の時は、クラッシックがはやるとか、流行は繰り返すと言うが、再びエレガント路線が来るのかもしれない。

私にとっては大変うれしいことだ。

 

 

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