パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

旧岩崎邸庭園 iwasaki-tei teien

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この日、池の端(いけのはた)に用事があった帰り、湯島(ゆしま)近辺をぶらっと歩いていたら、旧岩崎邸庭園の道標(どうひょう)に行き当たった。
 
前から一度行ってみたいと思っていたので、偶然に誘われるように寄ってみることにした。
坂道を上がると、門があり、また砂利道がなだらかに登りながらカーブしていく。
 
うっそうとした木立を抜けようやく登り切ったところで、広い車回しが開け、白い建物がそびえる。
木造の西洋建築にしては華麗な洋館だ。
 
ジョサイア・コンドルというイギリスの建築家によるもので、鹿鳴館(ろくめいかん)など数多くの建物を作ったが、多くは戦災や震災で焼失している。
 
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ちょうど、3時から中でミニコンサートがあるというので、その整理券ももらう。たまたまに流されて、休日を過ごすというのもよいものである。
 
 
客室と大食堂に椅子を並べてのコンサート会場。
演奏が始まるまでの間、マントルピースや窓の装飾、天井や壁紙などをしげしげと眺め鑑賞する。
意外にもレースのカーテンの柄が繊細で素敵。
この古くからある建物に、これを選んだ人センスある・・・とかなんとか、何をみているのやら。。。
 
 
2階に上がる磨きこまれた階段の手すりなど、とてもエレガントだし、客間の金唐紙の壁紙も贅(ぜい)を凝らしている。
 
バルコニーから芝生の広がる庭を望む。
黄昏にかかる時刻のあいまいで薄ぼんやりとした風景。
 
こういうところへ来ると、ここの令嬢になったつもりごっこなどして、妄想の世界に入ってしまう。
「与一、そろそろでかけますから馬車を呼びなさい」とかなんとか。。。
 

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晩秋の日は短く、薄暗く暮れる中、しっとりと落ち着いた風情の日本家屋もよい。
 
時代小説マニアとしては、廊下を巡りながらたくさんの奉公人が働く姿や、奥方、主人の影、客人の出入りなどを重ねて楽しんでしまう。
 
 
 
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コンサートの終りが伸びたので、邸内を見学する時間が少なくなってしまったのだが、一周してお庭の方から外観をとる。
 
暖かな光に照らされてたたずむお屋敷は、別邸だけあって大きすぎもせず、個人の迎賓館(げいひんかん)としてはちょうどよさそうな感じ。
今まで見た日本の洋館では一番の好みと言っていい。
 
 
こんどは明るい晴れた日の朝に来たいものである。
 
 
三菱財閥の4代目岩崎小弥太氏と中村春二先生がお作りになられたのが成蹊学園で、創立100年を超える。
 
母校の成蹊小学校の木造校舎はとっくになくなってしまったが、あっさりとした素朴な洋館風で懐かしく思い出される。
 
 
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