パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

グレ カボシャール‐1 Gres cabochard

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香水の名前は時々、ネガティブワードを使う。
「ポワゾン」は毒、「エンヴィ」は嫉妬、「アディクト」は中毒。
香水には魔力があるからだろう。

では、カボシャールは?

それは「強情っぱり」という意味。マダムグレのひととなりを表現する名の香水だ。若いデザイナーを応援したり、ナチに公然と反抗して見せたり、いい意味で自分を曲げない人だったようだ。

香りは洗練された強い女性によく似合うシプレー。カボシャールは「バンディ」の系統と言われているが、ちょっと変えると、同じ調香師ベルナールシャンが作った香り、男性用のアラミスにも似ている。


 

<カボシャール グレ 1959>
グレはドイツがパリ占拠中の1942年に自分の店を開きました。ナチ支配下レジスタンスをかくまったり、あえてフランス三色旗の赤、白、青を使ったデザインで作品を発表、ドイツ当局に店の閉鎖を余儀なくされます。
 しかし戦後、その才能は開花し、ファッションデザイナーとしての地位を確立します。
はじめ、グレはギ・ロベールによって作られた軽いフローラルグリーンの「シュダ」という香水を出す予定でしたが、当時シプレが流行していることから、ベルナール・シャンが作った「カボシャール」と2つを同時に販売することにしました。カボシャールは、イソブチルキノリンの強いアニマリックスモーキーレザーを、フローラルアコードで和らげたような香りで、さらにフレッシュなマンダリンのトップになっています。
結局カボシャールがヒットして、10年間は需要に追いつくことが出来ないほどでした。のちに本業である高級婦人服の不振を、この香水一本であがなったとも言われています。

 

参考:perfume Legends French Feminine Fragrances/HM EDITIONS

 

写真はすべてパルファンサトリの所贓品です。
 

book:memoire de la mode gres    laurence benaim editions assouine

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