「杉の柩」 原題 「Sad Cypress(サッドサイプレス)」 アガサクリスティ・・・。
久しぶりにここずっと、ちびちびとクリスティを読み返している。
来をれ、最期よ、来をるなら、来をれ
杉の柩にうめてくりやれ
耐えよ、此息、絶えるなら、絶えろ
むごいあの児に殺されまする
縫うてたもれよ白かたびらを、
縫い目縫い目に水松(いちい)を挿して
又とあるまい此思い死
古い推理小説は、今の科学捜査がない時代だから成立したトリックもあるが、欲と愛憎、人間の心理面はいつの時代も普遍的である。
もちろん、昨日サイプレスを書いた連想でここへ戻ってきた。
しかし、読書日記は実は短時間では書けない。
じっくり読みなおしたりして、あらすじを軽快に描き、しかも興味を持たせて肝心なラストは秘密、というミラクルなテクニックが必要。
そのうえで、自分独自の感想を述べる。ここでまた言葉をえらび間違えると、趣旨が伝わらず、洞察が浅いと思われる。
しっかり書かないとかなり危険なジャンルだと感じる。
「読んだことのない人にはちっとも伝わらない」リスクを冒しながら書く意味はなんだろう。
えいや、というわけで、自分自身の中で心に残るシーンと言葉を残すことにした。
ある言葉をひとくくりしたところで、全編読まなければ、そこで出てくるよさを捉えられないかもしれないが、これが私のフィルターを通した美の形だから。
つづく。
内容は、ちゃんとした書評にお任せしたい。