パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ヒース ジャノメエリカ Erica canaliculata ,

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寒い中、ジャノメエリカの花が咲いている。
黒い点が蛇の目のようだからジャノメエリカ。この種は南アフリカ原産だという。


ヒース(heath)というのはアイルランドの荒地のことを指すのだが、そこに生える植物そのものもヒースとも呼ぶ。

それは特にエリカが多いので、エリカのことをヒース、ヘザーという。

 

昔の記事にも書いたことがあるが、有名な小説「嵐が丘」を十代のころ読んだ。
アイルランドの荒野を舞台にした物語である。

 

主人公のヒースクリフの意味は「荒地の崖」という意味の名。
執念深い彼の
復讐劇で、読んでいるうちに気持ちが悪くなってきたのを覚えている。
人間はそこまで憎悪し続けることができるのか、と思う。

おぼろながら、白黒の古い映画も見た記憶もある。
たぶんローレンス・オリヴィエ

主人公のヒースクリフが復讐の一環のために結婚したイザベラに、「お前の髪はなぜあのヒースの匂いがしないのだ!」と激しくののしるシーンがあった。

そこが特に印象的だったので「ヒースはどんな匂いがするのだろう?」と思っていた。

 

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大人になって初めて見たヒースは、ちっとも匂いがしなかった。
背丈は50センチくらいで、公園のプランター細かな花がびっしりと咲いていたのに。
このジャノメエリカも匂いがない。

 

荒れた土地で咲くアイルランドのヒースは背丈が低いそうだ。
それは風に運ばれて甘い匂いをさせているという。

 

 

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