色と香り
西洋と日本の伝統色
表紙もとってもきれいな、「日本の伝統色」と、「西洋の伝統色」の2冊を並べてみました。
本を開けば、色見本と名前、写真が並んで楽しい気分が上がります。
4色分解すれば、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の割合に尽きるのですが、色はただの数字の組み合わせではありません。
名前にはそれぞれの文化が背景にあってつけられたもの。由来や意味を知ると面白く感じます。
また、色と香りはイメージが結びつきやすく、ビビッドな色彩ならこの香料、渋い色ならこの組み合わせ、とか、名前から想像して香りの処方を考えるのも楽しいです。
フレグランススクールには、この「日本の伝統色」をテーマに、12本の香水シリーズを作った生徒さんもいました。
西洋の伝統色の名前はストレート
西洋の伝統色は、花や宝石など、具体的な物からとった名前が多いような気がします。ダイレクトな表現でおよその色を想像しやすいですね。
チェリーレッド、エメラルドグリーンやココアブラウンなど、後ろに色名がついていればさらにわかりやすいです。
あくまで本で紹介された中での話なので、雅味(がみ)に富んだ名前もまだたくさんあるのかもしれません。
モーヴとマロウ
私が気に入っているのは「モーヴ」。
「 モーヴ」はウスベニアオイ、薄紅葵(うすべにあおい)という植物のことで、花の色から名前が付きました。青に振った紫で、初の合成染料だそうです。
若いころに読んだ小説の中に、「モーヴ色のドレス」が出てきて、どんな色だろうととてもロマンチックなイメージを持ちました。語感もよく好きな色です。
もうひとつ、この花から名前を取った色があります。「マロウ」と言い、赤みがかった紫でしばしば「モーヴ」と混同されるそう。
日本の伝統色の名前は難読
一方、日本の伝統色は、露草色(つゆくさいろ)などもちろん植物由来の名も多いのですが、聞いただけではどんな色か想像ができないものがたくさんあります。
空五倍子色、纁、橡色(答えは最後)なんて、すぐには読めない漢字も数ありました。
例えば天皇が着用される、黄櫨染(こうろぜん)。承和色(そがいろ)は黄色で仁明天皇が好んだ色。
お召茶(おめしちゃ)は将軍が好んでお召しになり、絽孝茶(ろこうちゃ)、璃寛茶(りかんちゃ)、團十郎茶(だんじゅうろうちゃ)など、特定の人物が愛用した色が冠(かんむり)になっています。その方について知っていれば、なるほどと思えますが。
媚茶(こびちゃ)なんか、文化の持つ意味が深すぎて、翻訳できないニュアンスの色ですね。
日本は渋好みなのか茶系の種類が多く、どれも微妙な色合いです。
色だけみて名前を当ててみろと言われたら、香りを嗅いで名前を当てるより難しそうです(笑)。
また黒も色々な黒があって、ネーミングがとっても素敵。香りを作るヒントになりそうだな、などと思っていつもページを眺めています。
答え (よみかた) ざっくりした色味の系統
空五倍子色(うつぶしいろ) 灰焦茶
纁(そひ) 淡い朱紅色系
橡(つるばみ) 鉄黒系
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