葛籠(つづら)。ずっとクローゼットの中にあったのでまだ新しくみえるが、私が20歳の時に作ってもらったものなのでもう結構古い。
「舌きり雀」の中で、雀のお宿からおじいさんとおばあさんがしょってくるのがこの葛籠。
この物語の時代の葛籠は葛籠藤(つづらふじ)を編んだ簡素なものだったであろうが、のちに幅の揃った竹で組まれ柿渋が塗られ、さらに漆が重ねられた。
内側には和紙が張ってあり、外は黒い漆、家紋が入っている。大きいがとても軽い。通気性がよく衣装を保管したり運ぶのに適している。
引き出しのほうが便利なので、普通の着物は桐の箪笥にしまっているが、ここには普段あまり着ない正装を入れている。
20歳のころは大振袖だったが、今入っているのは留袖だ。
隔世の感あり。