ジャンヌ・ダルクというとコンサバな感じ。
神格化された偶像のようなイメージがある。
むしろ、ラ・ピュセル(La Pucelle)という呼び方のほうが軽やかで、
意味合いといい音の響きといい、彼女らしい。
シンプルな信仰心が、国家という運命の奔流に流れ流される。
翻弄されながら前に進むしかなかった、その乙女の姿を名前に思い描くと言ったら、
彼女は
「やってもみないで、勝手に想像しないで!」
と怒るだろうか?
ラ・ピュセルには「使用人」という意味もある。
神の使命が降りたと信じられたとき、人は生涯をその使用人として全うできる。
人は自分のためだけに生きることは実は苦しく、「他者のために」と感じられるとき力を得る。