「マリーアントワネットの調香師」は、フランス革命前後を生きた調香師「ジャン・ルイ・ファージョン」の波乱に満ちた一生の物語である。
フランス・ヴェルサイユで発見された文献をもとに、2007年エリザベット・ド・フェドーによって書かれた。
出版からもう5年。縁あって、同名の宝塚の舞台を観に行くことになり、また本棚の奥から本を引っ張り出してみた。
ちょうど、佐藤賢一の「小説・フランス革命」を読んでいるところだった上、そもそも少女時代に馴染んだ「ベルサイユのばら」と重なる話なので、歴史や登場人物などはなじみがあるのですらすらと読める。
タイトルから想像するようなロマンスではなく、主人公ファージョンの生きた激動の時代と、革命に巻き込まれ翻弄される生涯を描いた歴史小説と言える。
この小説を原作に、オリジナルミュージカルとして宝塚の舞台になったのがこの「ジャンルイ・ファージョン 王妃の調香師」である。
ロマンチックに流されるような話ではなく、想像より骨太で見ごたえのある内容だった。
調香のシーンもたくさん出てきて、香水に興味のある人にも面白かったと思う。
もちろん、衣装も舞台もとてもきれいで、宝塚らしいキラキラの夢の国であることは間違いない。
宝塚は子供のころ何回か連れて行ってもらったが、大人になって足が遠のいていた。
当時は団員さんたちはみんなお姉さんだったわけだが、今ではみんな私から見たらすごく若い・・・。
今回の舞台で主役の宝塚星組の「紅(くれない)ゆずる」さんは、お人形のようにきれいな男役さん。顔がすごく小さくて、足が長い。
登場した瞬間そのオーラに目が惹きつけられる。でも、素顔は気さくな方のようだ。
歌舞伎とは対極にあるようで、共通の部分もある、非現実の美しい世界。
「マリーアントワネットの調香師」エリザベット・ド・フェドー著
王妃の調香師ージャン・ルイ・ファージョンー perfumerur de Marie-Antoinette