スミレ。やわらかくふくらんだ野の道を歩いていて、足元にふと気がつくと、もう紫の小さな花があちらこちらにぽっちりと咲いている。
あでやかな桜だけではなく、こんなささやかなところにも、春の喜びが溢れている。
スミレの学名、Viola mandshuricaマンジュリカというのは満州の、という意味からきているそうだ。
口に出すととてもかわいくて、スミレの姿にぴったりなように思える。
スミレの香りは甘く粉っぽい、しゅっと収斂するような香りだ。
ただし香りをかぐためには、跪(ひざま)づいて顔を近づけなくてはならない。
だから、香りのある小さな花は「王様」なのである。