日本とヨーロッパでは鐘の音色が違う。
夕方6時ころJR四谷駅近くを通りかかると、鐘の音が聞こえる。
上智大学のとなり、イグナチオ教会からだ。
いつも何気なく通り過ぎているのだが、ふと気がついて耳を澄ますと
日本で聞く西洋の鐘は、ややくぐもっている。
ガランガランとカランカランの間くらいの音。
パリでもカンヌでも、教会の鐘の音はもっと乾いていた。
遠くまで、硬質な響きがせわしなく届く。
音質の差は、湿度によるものだと思う。
ヨーロッパに比べて、日本は湿度が高い。
だから、こちらでは、少し音が鈍い。
言ってみれば、湿ったように聞こえる。
日本の気候では、お寺の鐘の、太く重い音がふさわしいと思う。
ひとつづつ、ゆっくりと味わうように打たれる。
ヨーロッパにもしお寺の梵鐘があったら、日本で聞くより軽やかに響くのだろうか。
音は、湿度や温度によって影響を受ける。
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と、勢いで書いてしまったが、実は今日の気分のせいでそう感じただけなのかもしれない、そんな気もしてきた。
一回書いたものの、ベットの中で気になりだして、起き上って念のため調べてみる。
「湿度が高くなると音速は速くなる」らしい。
また、「湿度があると、音の吸収は小さくなり、遠くまで音は伝わりやすい」そうだ。
速くなったり、伝わりやすいと、音質はどうなるのか?
湿っているとか鈍いとかは、感覚の問題なので書かれていない。
量の比較はできるけど、質の比較は難しい。
鐘の大きさの違いもあるだろうし、同じ鐘を持って行って聞き比べなければ本当のことはわからない。
物理の先生はどういうだろう。
今日は、時間もなくてさらっと書くつもりが、どんどん深みに入ってしまった。
思い込みは科学の目を暗くする。
写真の鐘はカンヌ西、丘の上の教会