
雨が樋(とい)を伝って、あふれた水が地面を叩いている。
これが夢の中で聞いているのだということは、妙にわかっているのだ。
その遠い音がリズムとなって、やがて近くにやってくる。
「トトトン、トトトン、トトトトト・・・・」
三三七拍子(さんさんななびょうし)になりかけて、中途半端に突然やんだ。
「・・・・なんであと二つ、ならさないんだ?!」と、お門(かど)違いな腹立ちで目が覚めた。
雨が秋を連れてきた。窓を開ければひんやりと濡れた空気が入ってくる。あの夏の景色は急に薄く褪せて、昨日のことはもうセピア色の懐かしさでいっぱいである。
感傷的な9月(sentimental September)の、朝の始まり。
やがて雨上がりの午後はキラキラになり、もう心は透明な光で満たされている。