私の日本舞踊の初舞台は、3歳のときの「てるてるぼうず」で、
2度目が4歳のとき、「菊尽くし」の舞台だった。どうも、菊尽くしは子どもの頃に踊る演目らしい。
もう、振り付けは覚えていないが、両手に菊の笠を持って、舞台の右から左へちょこちょこ小走りして、キメポーズをしたような・・・?
頭にのせる塗笠(ぬりがさ)にも菊の花がてんこもりで、とてもうれしかった。
菊の花の簪(かんざし)の、お姫様のかつらも魅力的だったのだが、「塗笠をのせるなら、鬘(かつら)はかぶれないよ」と言われ、駄々を捏ねた末、仕方なく笠を選んだことを記憶している。
今思うと、なぜ、両方はだめだったのだろう?藤娘じゃ、鬘も笠も被るのに。子供だから頭が重すぎるとか、予算の関係か?今となってはわからない。親に丸め込まれたと思う。
一昔、海外で和の花を見つけるのは至難の技だった。アイテムが少ないうえ、椿にしても藤にしても、「枯淡」「侘び寂び」からは程遠い、明るい華やかな品種改良品種は、どう見ても洋花。
フランスの普通の花屋さんにおいてある菊も、クリサンセマム、ポットマムなどは、マーガレットやダリアのような雰囲気だった。
上の写真の緑の菊は、細い花びらと姿が日本的。これが、白や黄色なら、お葬式っぽいところだが、緑色が目に新鮮で、日本でもよく活けている。
数年前からパリでも見かけるようになった。今年になって、カンヌの市場にも売っていたので、部屋に飾るために購入した。笑顔が素敵な売り場のお姉さん。
左の白いポンポン菊も、子供のころに着た着物の柄のようだ。
オリエンタリズムと、ジャポニズムは別のものだ。ヨーロッパでは一緒くたになっていたようだが、最近は花に限らずいろいろなところで、本来の日本的なものも散見するようになった。