パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

おばけ

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おばけは怖い。なぜかというと、よくわからないからだ

 

夜中、誰もいないはずの部屋からコトコトと音がして、まっくらで見えなかったら、すごく怖い。

 

それが、もしアライグマだったら、びっくりしてドキドキするけど、電気をつけて帚で追い払うとかするかもしれない。

どろぼうだったら、やっぱりとても怖いけど、相手によって逃げるとか反撃するとか助けを呼ぶとか、次の手を考えられる。

もしかしたら、窓から風が入って、本棚の扉があいたり閉じたりしているだけだったりして。

 

おばけは、「しらない、無知」という人の心が作りだしたもの。
「畏れ敬う(おそれうやまう)」ことと「怖い」は違う。

ただ、やみくもに
「おばけなんかいない、怖くないんだよ、大丈夫」と言われても、
何か変なことが起きているって子供だってわかる。

 

ちゃんと知りたい。
「教えてもらわなかったから」なんて言ってないで、じっと耳を澄ませて、鍵穴から目を凝らして、それが何なのか見ないといけない。

それで、何なのかはっきりわかるまで、声を立てたりしたらいけないのだった。

 

 

脈絡なく、本の中の言葉がふと頭に浮かぶ。

「科学的というのは、普遍的な客観性をもつということである。といっても何もむつかしいことではなく、特定の人でなく、誰にもわかるという意味である。」中谷宇吉郎随筆集p112

 

世の中が騒然として、自分でも平常心でいるということが難しい。
ただでさえ、能率悪いのに・・・なおさら、段取りの不手際や、うっかりが多くなってしまう。

自分の仕事にできるだけ集中する。
それが、一番迷惑にならないことだった。

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