パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

本田宗一郎一日一話

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ホンダの創始者である本田宗一郎氏の言葉が、一日一話ずつ、全366話の短いエッセイになっている。

 

 

技術家から世界のホンダを創った人物らしい、飾らない言葉で率直に書かれた本だ。

この本を書いた1985年に、すでに日本のありかたを憂いている。今日はその中の、8月28日の話を取り上げてみた。

以下、本から引用。

「あいまいさの使い分け」

以前、『八甲田山死の彷徨』という映画を見て感じたんだが、あの大遭難は日本人らしい命令系統の混乱のせいだね。あいまいなかたちで命令が下されたため、あの遭難は起こった。そうした管理体制と言うのは、日本にはとても多い。あいまいさというのは、良い面も悪い面もあるから、場合によって使い分けしないとたいへんなことになる。

ひともしごろのどっちつかずの判断を、命令に使っては失敗するんです。西洋ではイエスかノーははっきりしているから、権利と義務がぴたっと一致する。ところが日本はそううまくいかない。命令系統と人付きあいの使い分けを、これからわれわれは、大いに学ぶべきだろう。

 

本田宗一郎 一日一話 8月28日より

 

 

八甲田山雪中行軍遭難事件」とは

1902年、日本陸軍八甲田山で行った雪中行軍の演習中に、参加部隊が記録的な寒波に由来する吹雪に遭遇し210名中199名が死亡した。犠牲者は世界山岳史上最大と言われる。

この悲劇は、直接の指揮官が、大隊の上官の不適切な干渉(冬山に対する警戒心の低さ、他の隊との競争意識など)に抵抗することができなかったことや、錯乱した人間の誤った情報を上官が信用して、さらに迷走するなど、責任者の指導力の欠如という人的ミスで引き起こされた。

 

 

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