パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

加齢臭と呼ばないで その2

091123ペタング加齢臭2.jpg

アラフォーから、男女を問わず加齢臭の原因ノネナールは発生する。

 

 

 

 

しかし、体から「ノネナール」という成分が直接分泌されるわけではない。

 

若い人も、中高年も、男性も女性も、皮脂を分泌する。出たばかりの皮脂はそれほど臭いがない。
時間がたって、それが酸化したり皮膚常在菌によって分解するときに臭いが発生する。

若い人も、皮脂を放置しておけば臭くなる。しかし、加齢とともにその皮脂の成分が変わり、ノネナールが発生しやすくなり、中高年特有の臭いとなるのだ。

つまり、分解が進む前に皮脂を洗い流してしまえば臭いは最小限に抑えられる。就寝中には汗をかき、皮脂も一緒に分泌される。朝、さっとシャワーを浴びるか、忙しければ熱いタオルで背中や胸を拭くだけでも違うだろう。

 

また、抗菌作用のあるデオドラント剤の使用も、菌による分解を防ぐのでノネナールが生成しずらくなる。香水に含まれる香料にも、本来抗菌作用があり、さらにアルコールとの混合物なので、効果が期待できる。

昨日も解説したが、ノネナールそのものは薄ければそれほどひどい臭いではない。だから、ある程度清潔にした上で、上手に香りを使えばそう気にすることはない。

さて、なぜ加齢臭が男性特有と思われるのだろうか。

まず、女性のほうが化粧品やボディケアに関心があり、においに対しても敏感なため、自然と予防がされていることが理由の一つ。

 

また、皮脂の成分を変えるマイナス要素として、不健康がある。大きなファクターとして喫煙、不摂生、高脂肪の食事、ビタミンの不足、強い精神的ストレスなどが挙げられ、普段の生活習慣を見ると、男性のほうが原因を作りやすい。女性でも、こういった生活をしていれば当然同じような結果となる。

また、口臭やタバコ、腋臭、頭の臭いなどをいっしょくたにして加齢臭=悪者と思われているようだ。

 

最近の父権の凋落ももしかしたら関係あるのかもしれない。昔、子供のころ、たまの休日に一緒に過ごしたときに感じた父親のにおいは、私にとって決していやな臭いではなかった。

以前、講演で加齢臭について話したあと、二人の娘を持つ母親から、ご主人の臭いについて相談された。最初は臭いの話だったがだんだんご主人に対する別の不満を滔々と語り始めた。家庭内でどのように扱われているか想像して気の毒だった。

 

誰もが嫌う極度悪臭は別として、においというものは、感情の置きどころによってかなりキャパシティーが広くなるものだ。また、昨日も話したが、香りの組み合わせによってはプラスに変えることもできる。

逆に、いい匂いの香水でも、つけている人が嫌いだと、嫌悪感が増すようである。私は「におい」を、掛け算だと思っている。においによって、好感情はより倍加し、マイナスはより増幅する。

だれでもつけただけで異性が寄ってくるフェロモン香水は幻想である。まずは、活き活きとした魅力のある人格を作りたいものだ。

 

写真は、楽しそうにペタンクをする南仏の人たち

 

 

Copyright © PARFUM SATORI All Rights Reserved.