南仏の小さいともだち
小さなお客さんが処方箋の上を横切っている。
忙しく足を動かして、
全速力で走っているのに
ほんのちょっとしか進まない。
A4の、紙の端から端まで
10分はかかりそうだ。
くものわずかな一生からみたら、人間の10か月くらいかもね。
それでも、歩いた距離はほんのわずか。
昼下がり、蝶は一人で、
自分に似た影を見る。
次に風が吹いて、花が揺れたら、
それに合わせて飛び立とうとおもうのだけれど、
風は来なくて日は暮れてくる。
すこしづつでも歩いていたら、いつか目的地につくだろう。