パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

蒼穹の昴 ② 浅田次郎

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昨日のつづき・・・。

というわけで、ゆうべは早めに帰って読み進んだが、最後までに至らなかった。

それでも、読みながら思い出し、「そーそ、この人、サソリで暗殺されちゃうんだよね」、とか「こっちは、なかなか死なないのよねー、憎まれっ子世にはばかるっていうように」とか、下巻の後半に入ったところなので、いよいよ佳境にはいる(泣ける)ところへと差しかかっている。

このほかにもたくさんあるが、「日輪の遺産」「珍妃の井戸」などが泣きやすかった。(まあ、プリズンホテルも)

 

歴史ものを読んでいると、架空の人物と史実がからみあって、活き活きと物語が展開し、一つ一つの会話まで本当にあったことのように思えてしまう。

それが小説たるゆえんなのだが、主人公がだれで、だれの側の立場になって書かれていることかを忘れてしまうと目がくらむ。

でも、数字と出来事だけを追う歴史の勉強よりは、よっぽど楽しくて覚えやすい。人物と出来事を紐づけることによって、記憶が強化される。

たとえば紫禁城の様子など、いったことがなくとも、文章を読めば目の前に光景が立体的に浮かび上がり(本物とは違うかもしれないけれど)、人物が動き、語り、風が起こり、その想像には限界がない。(もちろん、それだけの文章だからだけれども。)

だから、本を読むことはやめられない。
(そういいながら、今日もテレビドラマの方を見るとしよう。)

 

藤原さんには「照柿」など、いくつか勧められたが、この本が一番面白いと思った。直木賞をとると言われていたが、この時は別の方が取られ、「鉄道員(ぽっぽや)」のとき受賞した。

しばらくしてお会いした時、浅田氏は有名になって変わられたといっていた。その藤原さんも、もうおられない。作品が残るのみだ。

 

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