パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

羽根の禿(はねのかむろ)ー日本舞踊②

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「羽根の禿」という演目で、振り付けはすっぱりと忘れてしまった。

 
 
だいたい、「禿」(はげではない。かむろと読む)という職業がなんなのかも知らず踊っていた。
 
むろん、小学生2-3年生に遊郭のことなんかわかるわけもないが、花魁(おいらん)の横にいる付き添いの少女のことである。
 
吉原の郭の前で正月、幼い禿が自由時間に羽根つきをする様子を踊る。
 
 
衣装がきれいで結構うれしかったものだが、舞台の時は支度が恐ろしく大変だ。床山さんというのかな?その人の前に座って、お化粧とかつらを付けてもらう。
 
頭にぐるぐる羽二重(はぶたえ)というのを巻くのだが、顔をできるだけ突っ張って、のりのようなべたべたしたもので貼りつけるようにする。
 
(歳をとった時代劇俳優が、洋装で出てきた時、一気に老けて見えるのは、かつらをつけるときにそうとうリフティングしているからだと思う。) 
 
顔には、最初に固いワックスのようなものを手でごしごし刷りこむのだが、それが本当に痛いのだった。
 
そののち、水で溶いた白いうどんこのようなものを顔に塗りたくる。(ドーラン)
顔は、まるで布でできたお人形のような皮膚になり、ちいさな紅をさしてもらうと、
自分の面影がまるでない、全くの別人に。
 
おしゃべりの伝六と呼ばれた私は、チビのくせにませていて、床山さんの前の座布団の上に座りながら、
「私はだれそれ君と結婚するつもり」 だの、「三々九度は同じ杯で飲むからきたないからやだ。ウエディングドレスがいい」だのしゃべりとおし、
 
「べにをさす時はだまって」としかられた。
 
プラス、大人の噂話をわかりもしないでペラペラしゃべったので、それも後で母親に叱られた。
 
 
 
私は生まれたてのとき、舌の裏が下あごについていたので、チョンとお医者さんが癒着部をハサミで切ったそうだ。アカチンをつけて母のいる産室に帰ってきたらしい。
 
「あんたのおしゃべりはそのせいだよ」とおばにも言われた。
 
ええーっそうだったのか!

 

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これは短い。

祇園小唄(ぎおんこうた)」という、舞妓さんの踊り。

 

この舞台はたぶん、小学校の4年生くらい。

 

「月はおぼろに東山~」からはじまる、軽い演目だ。

 

ぽっくりを履き、妻を帯に挟んで傘をさして登場、途中ですそをお引きずりに伸ばしたり、それでも3場くらいはあった。

 

だらりの帯もきれいな、水色のお衣装だったっけ。

 

  月はおぼろに東山

  霞む夜毎の かがり火に

  夢もいざよう 紅桜

  しのぶ思いを 振袖に

  祇園恋しや だらりの帯よ~♪

 

とにかくおけいこ不熱心だったから、本番までに覚えられるのがこれしかなかった、というのが真相。

 

しかも、どの写真もみんな目をつぶっているように見える。

 

母親に、「床を見ると、眠っているみたいだから絶対見ちゃダメ、客席の上の方を見なさい」

 

と口がすっぱくなるほど言われていたのに、やっぱり下を見ていたようだ。

 

 

 

あしたに続く・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

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