パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

勉強はいつまでするんだろう? 夏休みシリーズ

 

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学校さえ出れば、もう勉強しなくてもいい、宿題もテストもない、そう思っていた。

 

 

たぶん、子供はみんなそう思っているだろう。

私も、大学を卒業した時に、「あー、これでやっと試験勉強しなくてもいいんだ」と嬉しかった。よっぽど、テストが嫌いだったんだなあ。

 

 

母は80を超えるが、40年間、いまだに毎朝6時のNHKラジオ英会話を聞いている。時々は英会話のカセットテープを聞いていることもある。たいして話せないのに、外人とおしゃべりするのは大好きだ。

毎夏、ハワイにはいつも一人で遊びに行く。

「チェスさんとランチした」と言うので、その人は日本語ができるのかと聞くと、できないと言う。2時間も何を話してたの?との問いに
「そんなのいちいち覚えてないけど、いろいろおしゃべりした」

年も年で心配だし「私も行こうかな」と言ったら、「ヤダー!一人でせいせいとしたい」と断られた。

向こうでも、友達(外人)とスケジュールがいっぱいで、忙しいらしい。
英単語だけはよく知っている。しかし発音は戦前の教育でカタカナ風である。
文法は無法地帯だ。

要は、技術じゃなくてハートだと思った。プロの翻訳家、通訳ではないのだから、うまくしゃべることより、「話したいことがある」という情熱が大切なのだと思う。

 

母は、何年にもわたり、夜寝る前に茶道具の名鑑を毎晩読んでいたこともある。「私は頭が悪いから、何度も読み返していたら、ざるでも引っかかって少しは覚えるかもしれないからね」と言っていた。

机の上にはいつも新刊本がたくさんあって、「たくさん読むものがあるから忙しい」「もっと勉強したい」と言っている。 

当時それを聞いた小学生の孫は、「ええっ!70歳でまだ勉強しなくてはならないの!」と超ビックリしていた。

 

「死ぬまで勉強だよ」と祖母から聞いて、ショックを受けていたその子も、もう成人になった。

人とは違う、好きな道に行くようだ。好きを続けることはすごく大変なことのなのに・・・。私がまわりに応援してもらったように、応援してあげたい、と思う。

  

されば才のともしきや、学ぶことの晩(おそ)きや、暇(いとま)のなきやによりて、思ひくづれて、止(や)むことなかれ。とてもかくても、つとめだにすれば、出来るものと心得べし。すべて思ひくずるるは、学問に大にきらふ事ずかし」本居宣長
(大意:あれこれ言い訳しないで諦めず一生努力を続ければ目的はいつか達せられる)

 

 

 

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