昨日からの続き
先行する人たちはみんな、鉈でもって下枝を払ったりしながらどしどし上に行く。
しっかし、行けども登れども、黒文字らしきものは見当たらず。「○○さーん、こんなとこだっていってなかったじゃないですかー。私、林の中を散策するって思ってたんですけど」ついこぼしてしまう。
「前、行ったところはそうだったんですけど、僕もちょっと予想外だった・・・・。あ、うるしがあるかもしれないから気をつけて」
「ひぇえええ!!うるしかぶれの腫れた顔でパリに行くのはいやぁぁぁ」パニくる。イバラや木イチゴなど、とげとげした草もいっぱい。
アシもぶかぶかの長靴でかわいそうだし、服は汗でドロドロ、午後の予定も気になる。「ねえもう帰りましょー」とご機嫌斜めの私。
「じゃあ、この辺で横に歩いてみよう。前、向こうにあったような気がする」(やっぱ前に来てんじゃん)
みんなと別れて3人で、山の中腹を東のほうへ折れていく。しばらく行くと、あった、ありましたよ!彼は内心『あー、助かった―』という表情。
どれどれ・・・。教えられねばまったくわからないようなきわめて地味でありふれた木。匂いをかぐまで、本当にこれ?似たやつ今までたくさんあったけど・・・。
おお!きわめてフレッシュな、摘みたての黒文字の香りが!ちょっと感動。
しかしあたり一面、それ一本しかない。本当は、トラックいっぱいとらなければ、蒸留することもできない。こんなんじゃ、やっぱり商業化するのは無理だ。
でも、とりあえず「見る」という目的を果たしたので、やれやれと山を降りることに。
しかし、冒険はまだこれで終わらなかったのだ・・・。