パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

いちごの香り 苺、イチゴ

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昔は5月がイチゴの季節だった。最近のは甘くて、あんまり酸っぱくない。

今では、ハウスはそろそろ終わりかな。

 

形もこんなにりっぱではなかった。赤い小さいいちごが店先に出ると、母は大きな密閉瓶にいっぱい入れて、お砂糖も同じだけ入れて、たぶん酒石酸(しゅせきさん)も入れたのだと思う。

砂糖によってだんだんルビー色のシロップがにじみ出てくると、いちご本体は白く色が抜けて、2週間もする頃は、上の方にぷかぷか浮いてくる。

キッチンを通るたびに、瓶をゆすったりした。いちごとお砂糖の混ざったシロップはいいにおい。冷たい水で薄めたり、ソーダ水で割ったりした。

このシロップ、本当は何年も持つものだけれど、いつも夏の間には飲みきってしまうのだった。

 

 

フルーツ、特にいちごのにおいは、小さい頃のやさしい思い出とともにみんなが好きな匂いだ。

大ぶりのいちごをほおばり、口に広がる香りを味わう。自分のまわり、半径30センチくらいにパーっと幸せが広がるのを感じる。

 

 

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