パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

画材店 セヌリエ 37

 

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セヌリエはルーブル美術館の対岸、パリ左岸にある画材店だ。1887年に設立してから140年ずっとここでお店を開いている。

1949年にはピカソのために、色あせやひび割れもなく、どんな表面にも自由に使えるオイルパステルを作った。パステルの手軽さと油絵の具の重厚感、両方のよさをもつ。

しかし、この場所で、それほど高額ではない商品を扱っていてよくやっていけると思っていたら、とにかく次々とお客さんが入ってきて、本当に忙しい。近くに美大もあるし、歴史があるお店だから。日本にも商品を出しているそうだ。

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文具店・本屋・花屋にいくと、私はものすごくテンションがあがる。それが、マニアックだったりすればなおさら。ここも外から見た段階でかなりの期待度。
 
なにしろ、セーヌ川沿いを歩いてくるだけでもかなり気分が出来上がっているし、建物がまたいい感じだったりすれば、どんなものでも(失礼!)置いてあるものは魅力的に見えてしまう。

 

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扉を開けて一歩入ると、そこは夢の世界。使い込まれた棚の色と、鮮やかな絵の具類のグラデーションの取り合わせがなんとも素敵。空気感が違う。
なんかいっぱい買いたくなっちゃったのいざとなると絵の具って重たいし、とりあえずおみやげに筆を何本か買うことにした。

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お店のお兄さんに、「細い筆でとてもいいものをください」と言ったのに、なぜか「これがいい」「これ、これ」と書道の筆のような太いものをしつこく勧められる。そこで、またこちらも繰り返し「あのね、細かい絵を描くのだから、ほそーいやつ、ちょうだい!細いやつよ!」
しかし、帰国後プレゼントした後で、当人から「でも筆は日本のものが一番いいんだよね」などと言われ「エ"ェーッそれはないでしょっ!」ちょっと頭に来る。
 

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一時は今の倍ほどの広さがあったそうだ。上の階にシラク元大統領が住んでいる。フランスではやはり、シラク氏はいまでも評価がされているようだ。

パリの人いわく「いろいろあったけどやっぱりシラクさんは尊敬されてますからね。」

今の方は?「アレはねぇ?!」辛辣な言葉が続く。

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パリには観光客が世界一来ていて、大きな国家収入を得ている。そのため、街の景観保持や文化援助に国家予算を1割あてているそうだ。


 

どんどん壊して新しい近代的なビルを建てていく東京。統一感も美的なバランスもなく消費されていくだけの街。増えていく人口の収納を考えれば、確かに合理的な様だけど、総合的に考えた時、本当に利益をもたらすのだろうか?

こういった資金を全部、古い建物の保存や維持に使っていったら、世界に誇れる歴史ある街になるのになぁ・・・。

官庁だって、純和風建築にすれば、それにかかわる職人さんの仕事や、技術の継承といったさまざまな恩恵が得られるし、日本みたいに資源のない国は、歴史や技術、人を育てていかなくてどうするのだろう・・・。ぶつぶつ

帰国後のパリ・レポート?3

 

 

 

 

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