パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

まめごはん MAME GOHAN

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豆ご飯をデパ地下で見かけ、なつかしくてランチ用に買った。
 
 
実家では、白い時もあるけど、ときどき田舎風にお醬油をいれた、ほんのり茶色いのを炊くことがある。
香ばしくこげたお米の匂いが混ざって、これもオツなものである。
 
5月ころになると、必ず一度はお膳に乗った献立。
子供の頃は、豌豆豆(えんどうまめ)はモソモソしてあんまり好きではなかったのだが。
 
ひすい色の鞘に入った、えんどう豆を出すのを手伝った。ような気する。
そのあと、どうやって作ったかな。
もしかして生の豆をそのままご飯と炊き込んだのかも。。。
今度母に聞いてみよう。
 
ガス炊飯器(そのころは電気じゃなかった!)から蒸気があがって、それが静まるともうできあがり。
 
筍やマツタケご飯に比べると、香りは地味な存在だけど、
茶碗によそった鮮やかな水玉模様が初夏の到来を告げる。
 
 
 
何十年もたって、
「あ、あのとき、母がこんな風に作ってた」
「なぜ、あのタイミングで塩をいれたのだろう?」
 
ものさしをまたぐと叱られたりとか、
そういう日々の小さなことがらを、大人になって思い出して、
ようやく理解できることがある。
 
そんなときは、
「一生かかって勉強しているんだなあ」とよく思う。
 
 
それらの記憶は、いつか親のいなくなった後にも、デジャブするかもしれない。
 
親は子供に、いま分からなくても教えていかなければならないことがたくさんある。
 
「いつかわかるよ」そんな口癖と共に。
それはいつも正しいとは限らないけれど。
 
 
 
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