パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

鳩居堂(きゅうきょどう) 銀杏の便箋 Kyukyodou

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ファックスが便利だと思っていたのも今は昔。
メールを使うようになってから、利用する機会がぐっと減ってしまった。


 

==== ましてや手紙など、文字をかくにも時間がかかってたくさんの人に書くには効率が悪い。

今や郵便で出す手紙は実用ではなく、社交の役割としてのみ残ったかのようである。
そんな手紙であるからこそ、季節に乗せて送りたいものだ。

などとまるで文具店の広告のようになってしまったが・・・。

 

銀座に出れば鳩居堂きゅうきょどう)に寄り、寄ればつい買ってしまうレターセット。
いちょう、白椿、てふてふ(蝶々)の3種類。

 

「いちょう」は黄金色に染まった葉が裾(すそ)にあしらってある。
ほんの短い季節しか出せない贅沢なレターセット。

それでも、早く出さなくてはと思えばこそ筆まめになるというもの。

絵柄の位置を気にしながら、便せんに筆を走らせる。

季節感を大切にしたり遊んだり、
こういう日々の積み重ねが人としてのふくらみを作っていくのだ。

ささやかなぜいたく。
いいものを使う、その消費の中で吸収すること、それは自分への投資。


というよりも、楽しみながら知らぬ間に、内面に財が積まれているというのが理想なのだ。


惜しむらくは私は字があまりうまくない。
だから、直筆は恥ずかしいのだけれども、、、

でも心を欠くより、恥を掻(か)く方がまし、そう思って
せめて香水を便せんに、ひと吹き掛(か)けてごまかしているのである。

 

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