お月さんのように大きなクリの入った栗ごはん、これは新宿高島屋の「心亭」のおにぎり。
そういえば今日は中秋の名月だったっけ。
お月見には栗がつきものだ。
昔、母が炊いてくれた季節季節の混ぜご飯。
たけのこごはん、豆ごはん、松茸ごはん、栗ごはん。
ご飯に混ざった食材の、それぞれの香りとちょっと香ばしいお醤油の匂い。
栗ごはんは年に一回くらいだったから、私の中では一番希少性があった。
今思うと、皮をむくのが大変だったからに違いない。
自分ではやらない。
大粒のゆでた栗を包丁で二つに割って、さじですくって食べたりするほうが簡単だ。
ゆで栗の匂いにはデンプン質のぽくぽくと粉っぽくキラッとしたところがあって、渋皮のちょっと青臭いアニマルウッディ感もあると思う。
栗に含まれるメチオナールという香り成分は、醤油(を薄めた)様ともイモ様(よう)の匂いともいわれている。
同じ成分が麹(こうじ)やサツマイモにもあるようだ。
焼き芋屋さんの引く屋台に、「くり(九里)より(四里)うまい十三里」と書いてあったのを覚えている。
甘さではサツマイモに負けるが、栗は微妙に甘いところがいい。