パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

昼と夜の汀(みぎわ) France

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私たちは太陽を追いかけているので、いっこうに日が暮れない。
2時間半遅れの出発で、パリにつくのは夜の9時半。あと30分あまりある。
 
窓からは金色の太陽が、やや下に見える。
機体が傾き、方向が変わる。
 
空と地平の境は淡くオレンジ色に染まり、水色からやがて薄紫のエリアへと振れていく。
その先には白く浮かぶ月。
 
背には太陽。
機は大きく旋回したのである。
 
黄昏(たそがれ)の地平線には、薄く藤色(ふじいろ)の層がはっきりと表れている。
地球全体が、空気の膜に包まれているのだ。
 
機体はやがて高度を下げ、靄(もや)の中へと入っていく。
 
 
 
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カンヌは入り江になっており、海の向こう、対岸の山の峰に鈍く月が登っている。
さて、昨日も満月だと思ったが?
 
 
 
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いま、私はあの薄紫のもやの中にいて、生まれ変わった今日の月を見ている。
 
長い黄昏を連れて、白い船が通り過ぎていく。
 
 
 
 
 
 
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